リコーダー演奏技術と録音技術

1. リコーダー入門
2. リコーダー演奏基礎技術
3. 曲の移調方法
4. リコーダー演奏の録音方法


1.リコーダー入門

以下のホームページ・本・CDが役に立ちます。

A. リコーダーを上手に吹きたい 野田晴彦(ペネッセ教育情報サイト)
第1回 リコーダーを始める前に 小指の長さに合わせる 指先で穴を感じる タッピング
第2回 タンギング(タ行の多い言葉で吹く)
第3回 低い音の出し方 穴をしっかり閉じる(タッピング) 息を弱く
第4回 高い音の出し方 親指を少し開ける(サミング) 息を強く
第5回 アンサンブル 3種類の吹き方 タンゴ風 ロック風 ボサノバ風

B.リコーダーをうまくふこう(NHK)
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/outline.cgi?das_id=D0005230003_00000
1.ベートーベンの曲に挑戦
2.ときどきへんな音が出る?
3.穴は指の腹で押さえよう
4.音がうらがえるときは
5.ゆっくりした息を意識して
6.高い音を出すコツは?
7.ブラボー音楽実験
8.歌うようにふこう
9.「喜びの歌」の発表!

C.リコーダー演奏技術教本
アルトリコーダー初歩の初歩入門(吉澤実著)
リコーダーが上手くなる方法(渡辺清美編著)
絶対! うまくなる リコーダー 100のコツ(吉澤実)

(演奏例)CorderLeeCorder チャネル 26曲1時間
https://www.youtube.com/watch?v=U-e5JdUXf-g

D.吉澤実によるレクチャームービーと演奏
リコーダーの歴史と種類①リコーダーの進化
https://www.youtube.com/watch?v=lZwYC4sejAo
リコーダーの歴史と種類②リコーダーのさまざまな仲間https://www.youtube.com/watch?v=tFS_XpZPLeo
「リコーダー」の名前の由来
https://www.youtube.com/watch?v=qV7e_-HWb9I
リコーダーに込める想い
https://www.youtube.com/watch?v=SITmlncKMTQ
《グリーンスリーブス》吉澤実・永田平八
https://www.youtube.com/watch?v=5X3xJk3SE8k
「イタリアン グラウンド 」リコーダー&リュート 吉澤実・永田平八
https://www.youtube.com/watch?v=-GKBLb9sLYk

E. Thoughts on the Recorder by Geert Van Gele
リコーダーの演奏法 36回の講義(英語)

F. 時代様式と音色 by soshichi uchii

https://www.youtube.com/watch?v=pooiSZ-Dx_c
材質と音色 by soshichi uchii
https://www.youtube.com/watch?v=C5vRgUWZBE0

G. リコーダーの歴史
あなたの知らない「リコーダー」の世界【前編】
https://edyclassic.com/2782/
あなたの知らない「リコーダー」の世界【後編】
https://edyclassic.com/2798/

H. リコーダーの芸術 マンロウ・ロンドン古楽コンソート (CD)
(リコーダー小史) 井上亨著
リコーダーの起源、ルネサンス時代のリコーダー、バロック時代とリコーダーの繁栄、リコーダーの衰退、現代のリコーダー、日本におけるリコーダー、現在のリコーダーの種類と演奏ピッチについて
(リコーダー演奏曲)ディヴィッド・マンロウ演奏
(中世)「イングリッシュダンス」、「サルタレロ」;(ルネサンス)「愉快な歌」バルビロー、「愛する人の苦しみが私を苦しめる」ジャコタン、「3人のブルジュア娘」ユーチュール、「ため息が火をつける」セルミジ、「悲しまずに私を愛して」セルミジ、ファンタジー「木々の葉は青く」バード、「いつも通り」ホルボーン、「バヴァン」ホルボール、「ガリアルド」ホルボーン、「選択」ホルボーン、「とてもかわいい人」ホルボーン;
(初期バロック)「7本のリコーダーのためのソナタ」シュメルツァー、「グランドバス上の3声のためのファンタジア」パーセル;
(後期バロック)「リコーダーと2本のヴァイオリンのための協奏曲イ短調」ヴィバルディ:アレグロ:ラルゴ:アレグロ、「リコーダーのための協奏曲第2番ニ長調」バストン:アレグロ:アダージョ:ブレスト、「サクランボよりなお紅く」ヘンデル、「ヒツジは憩いて草をはむ」バッハ、ソナティナ「神の時こそいと良きときより」バッハ、アリア「飢えている者はよいもので飽かせ」バッハ、「緑林の木陰で」アーン,「選り抜きのミュゼット」クーブラン、「居酒屋のミュゼット」クーブラン;
(現在)「スケルッオ」ブリテン、トリオ「ブレーンの音楽の日の曲集より」ヒンデミット、「ノドジロムシクイ」バターリー、「リコーダーミュージック」ディキンソン

I. ヤマハ楽器解体全書 リコーダー
リコーダー誕生ストーリー  リコーダーの歴史~全盛の時代~ リコーダーの歴史~復活から現在~ リコーダーの種類 パーツの名前を知ろう リコーダーの音程はどうつくるのか 身近だけれど奥深いリコーダーの演奏  リコーダーの運指表できるまで 木製リコーダー  樹脂製リコーダー  樹脂リコーダーと木製リコーダー バロック式とジャーマン式 リコーダーのお手入れ  リコーダーは花形楽器 王様も愛好者 リコーダーの白色は象牙から 木製リコーダーの寿命は数百年!?

2. リコーダー演奏基礎技術

リコーダー練習のなかで身につけた私的演奏技術のまとめ。

楽曲は、高さ、強さ、長さの異なる音の連なりによりできています。リコーダーでは、指使い、吹く息の強さ、タンギング(舌使いと喉使い)により音の高さ、強さ、長さをコントロールして演奏します。したがって、リコーダーの練習では、指使い、息の強さ、タンギングにより、音の高さ、強さ、長さをどのように上手にコントロールして曲を作るのかを練習することになります。

①指使い

購入したときにリコーダーについてくる運指表にしたがう。
替え指やトリルの指使いは以下に書かれている。
「新版アルトリコーダーテキスト(下)」田中吉徳編 全音楽譜出版社、または、「アルトリコーダー初歩の初歩入門」吉澤実著 ドレミ楽譜出版

②息の強さと音の高低(指使いはアルトリコーダーのものです)

・リコーダーは同じ指使いでも吹く強さにより異なる高さの音がでます。
例えば、低いラの指使いで、できるだけ弱くトゥーと長く吹く、思い切り強くトゥーと吹く、中程度の強さでトゥーと吹くと異なる高さの音が出ることが分かります。
・次に、同じ指使いで、1息で弱く吹く状態から最大の強さで吹く状態まで次第に吹く強さを変えます。すると音の高さが何段階か不連続に変化することが分かります。
・さらに、同じ指使いで、中程度の高さの音を出しながら吹くつよさを少し弱めたり強めたりします。すると音の高さが微妙に変わることが分かります。
・以上の実験から次のことが分かります。
㋐通常のリコーダー演奏ではリコーダーで出すことのできる音の一部だけを用いている。
㋑低いド(アルトリコーダーの場合)より低い音は弱く吹くと正しい音が出る。低いドから高いドまでの音は普通に吹くと正しい音が出る。高いドより高い音は強く吹くと正しい音がでる。
したがって、リコーダー演奏に際しては、低いドより低い音はよわく吹く必要があり、低い音を強く出すことは困難である。また、高いドより高い音は強く吹く必要があり、高い音を弱く出すことは困難である。
㋓さらに、普通に吹く場合にも音ごとに吹く強さを微妙に調節して正しい高さの音を出すようにしなければならない。
・以上から、リコーダー練習の目的の一つは、出す音の高さに合わせて意識せずに吹く強さを変えて正しい高さの音を出せるようになることです。
*はじめてリコーダーを吹くとき、低いファやソがうまくでない、音がうらがえって高い音になってしまうという場合がよくあります。その原因は2つです。①右手のくすり指や小指が笛の穴を正しくふさいでいない、②強く吹きすぎている、です。指の位置を1つ1つ確認して穴を正しくふさぎ、弱く吹くと正しい音が出ます。リコーダーを吹くときの姿勢と構え(リコーダーの持ち方と角度、うでの位置など)をいつも同じにして練習をつづけると自然に正しく吹けるようになります。

③タンギングシラブル(太文字は強く)

音の長さはタンギング(舌使いと喉使い)によりコントロールします。一方、音の強さは基本的には息の強さによりコントロールします。

音は、舌を上あごにあててから離す(はじく)と同時に息を出すことにより出はじめ、息を出し続けると出つづけ、喉奥をしめて息を止める(つまる)と止まります。すなわち、Tu(トゥッと舌をはじく)——–u(ゥーと息を出し続ける)———-X(喉を閉めてつまる)。のどを閉めて息を止めるとは、アーアッと音を出してから止めるときののどの使い方です。この舌と喉の動きをタンギングといいます。

音が休符なしにつづくときはxのあとにすぐに次の音のTuがくるのでxとTuはほぼ同時になります。しかし、次の音が来ない時はxで音を止めます。また、スラーやテヌートで切れ目なしに音を続けるときはxはなくなり、Tuの後にすぐに次の音のTuが来ます。

タンギングの役割は音の開始点と終止点をはっきりさせて音を明瞭にすることです。息を出すだけでは音の開始点が不明瞭になりフワとした音になり曲の切れ味が悪くなります。タンギングをせずにただ(フゥフゥフゥと)息を出すだけでラシドレミファソを吹いてみましょう。フワフワした音階に聞こえます。次にタンギングをしながら(トゥトゥトゥと)息をだしてラシドレミファソを吹いてみましょう。それぞれの音がキリっとしてきれいな音階となります。音の終止点も同じです。のどを閉じなければ息をはっきりと止めることはできません。

音の長さと強さを正確にコントロールするための舌の動きを言葉で表したものをタンギングシラブルといいます。タンギングシラブルを発音するつもりで舌を動かすと息の動き、すなわち、音を正確にコントロールできます。

(一般的タンギングシラブル)
Tu(トゥ):強いタンギング。舌先を上顎の歯のつけ根につけてトゥッと弾いて離すと同時にゥをつづける感じ。低いラから高いレまでに使う。明瞭な音を出すときにつかう。強いタンギングをするときは、最初のTを強く吹き(Tu、トゥッ)、それに続くu (ゥ)は普通に吹く。後に続くu (ゥ)音を強くふくと音の高さまで変化してしまうので注意。なお、ゥは日本語の「う」とは異なり、くちびるに力を入れずに緩めてすこしだけ口を開けて出す音で、日本人にはアともウともエともオともきこえる音である。英語のopenのeやearthのearやtomatoの前がわのoの音。

Du(デュ):弱いタンギング。ドゥと表されることもあるがデュがより正確。舌を上あごの少し奥にベッタリとつけてデュと離す感じ。この時、はじかない。低いラから高いレまでにつかう。やわらかい音を出すときに使う。

Ru(リュ):さらに弱いタンギング。ルと表されることもあるがリュがより正確。舌先を上あごのさらに奥につけて離すだけの感じ。全くはじかない。低いラから高いレまでにつかう。さらにやわらかい音を出すときに使う。なお、Ruの正確な発音は発音記号的にはLuであって、上あごに舌先をつけて離すときの音である。リコーダー音楽界の慣例によりRuとしている。

Ti(ティ:特に強いタンギング。最初のは瞬間的に強く弾いて(Ti、ティッ)と吹き、それにつづけて i (イ)を普通に吹く。高いミファソを出すときに使う。高い音ほど最初のTiを強いタンギングで吹く。高音を弱い音でだすには、最初の Ti は強くタンギングして つづく i  を弱く吹いて弱さを表現する。高音を弱いタンギングで出すことは困難である。

Ro(:特に弱いタンギング。舌先を上あごの奥につけて(Ro,ロ)と離す感じ。低いソやファの音を出すときにつかう。o(オ)はのどの奥を広げて出す。舌先を喉奥から離すときははじかない。舌により息の流れをコントロールするだけ。 低いファやソの音は前に述べたように強く出すことができない。しかし、音が長ければ低音でも強く響かすことができる。RoOー(ロオー)と吹けばよい。最初はRo(ロ)は弱く吹きはじめ、つづくO(オー) は息を強めながら長く吹く。RoOーの感じである。レコーダー音は低音でも一旦響きだすと、その後息を強めても同じ音が出続けるという特徴があるからである。試してもらいたい。しかし、短い低音を強く響かすことはやはり困難である。なお、このRoの発音も前記のように正確にはLoである。

TukuTuku(トゥクトゥク)強い短い音が連続するときのタンギング。ダブルタンギングという。kuは口の奥で舌を一旦上あごにつけてから離すときの発音。4連符はTukuTuku、3連符はTukuTu。

DuguDugu(デュグデュグ):弱い短い音が連続するときのタンギング。4連符はDuguDugu、3連符はDuguDu。

TuU(トゥウ)、Tu I(トゥイ)、TuO(トゥオ)、DuU(デュウ)、Dyu I(デュイ)、DuO(デュオ)Ti I(ティイ)、ROO(2音で一組の音。最初の短い音につづいて次の音をつづけるときのタンギング。2音はスラーでつながっている場合が多い。TuUとDuUは中音から中音へ移るときに使う。TuIとDuIは中音から高音へうつるときに、TuOとDuOは中音から低音にうつる時に使う。Ti Iは高い音を続ける時に使う。RoOは低い音をつづけるときにつかう。

(空タンギングシラブル)
u(ゥまたはア):タイで同じ音が連なるときの後側の音。前の音の後、息を切らずに前の息に u でつづけて音をつなげる。とくにシンコペーションの時に重要。
n(ン):休符を入れるときのタンギング。舌を上あごにンとつけると同時にのどをしめて息を止める。3連音符や4連音符のなかに短い休符を入れるときにつかう。短い休符から始まる小節の演奏にも使う。
このほかにトゥッのようにッで短く音を切ったり、ブレス(息を吸うこと)で短い休符を表現することがある。
異なる位置に休符の入る4連符 nTukuTu、TunTuku、TukunTu、TukuTun
異なる位置に休符の入る3連符 nTuKu、TunKu、TuKun

③アーティキュレーション 奏法

スタッカート:音符に点がつく 音の長さを半分以下にして明瞭に吹く。バロック曲は現代曲より長めにふく。
テヌート:音符の上に横棒が付く 音を最後まで長く吹き、次の音との間の短い休みをほとんどなくす。
テヌートスタッカート(メゾスタッカート):音符の上に点と横棒が付く。その音をしっかりふくと理解するとよい。すなわち、スタッカートのように短くしないが、テヌートのように長くすることもない、です。ピアノやギターの場合は音は最初が強くその後しだいに弱くなるがリコーダーでは吹いている間は最初の強さで音が続くので、普通に吹けばもともと音の性質からしてテヌートスタッカートになっている。作曲者の気持ちに配慮してその音をしっかり出すのでよい。

タイ:2つの同じ高さの音を弧でつなぐ 2つの音をつないで1つの音としてだす。音の最初にタンギングがあり、2番目の音はタンギングしないで前の音につなぐ。2番目の音のタンギングシラブルはウ。
スラー:高さの異なる2音または多くの音を弧でつなぐ。最初の音にタンギングをおこない、2番目以後の音はタンギングせず前の音につなげる。その結果、音間の短い休みがなくなり1つの連続音の塊となる。最後の音は少し短くして次の音との間に短い休みを入れ連続音の終わりを表現する。たとえば、4つの八分音符で最初の2つにスラーをつけるとツゥ・ツツとなり1つの塊とそれにつづく短い2音に聞こえる。2つずつに分けてスラーをつけるとツゥ・ツゥと2つの塊に聞こえる。
バッロック時代は音階の旋律はレガート奏法(スラーのついた演奏法)でふいていたといわれています。

くわえ方・姿勢・息継ぎ(ブレス)読譜

くわえ方:リコーダーの吹き口を下唇のうえに軽く置き上唇で押さえる。浅くくわえ、深くはくわえない。リコーダーの先端が歯に当たるのは深くくわえすぎ。
姿勢:顔の向きが重要。目線が水平または少し上を向くようにする。うつむき加減の姿勢はダメ。うつむくと演奏中に口中の唾液がしたに移動してリコーダーの吹き口に入る。吹き口が唾液でつまり音が出にくくなる。楽譜を胸元において下を向いて吹くのは大きな間違いである。

息継ぎ:息継ぎの位置は演奏結果に大きな影響を与える。息継ぎ位置では、直前の音が自然に短くなり休符が入る。息継ぎ後は息が強くなり音が元気になる。したがって、曲の切れ目に息継ぎを行うと自然な演奏になる。逆に曲が続くところで息継ぎを行うと不自然な演奏となる。
読譜:固定ド(Cの音をドとする読み方)で読みます。まずは1つ1つの音符を正確に読めるようになる。つぎには、1拍分をまとめて読めるようになる。さらに、フレーズあるいは1小節分の音符をまとめて読めるようになるのが重要です。結局、曲の練習とはいくつかの音符をフレーズとしてまとめてよんで(頭で把握し)、
反射的に抵抗感なく指・舌・息を動かせるようになる練習である。練習を積むと、5線譜上の音符を見るだけでドレミと読まなくても無意識に指や舌を動かせるようになる。体操競技やスポーツ競技の練習と同じである。

⑤演奏の速さ

各音符の長さは音符の相対的長さをきめるもので、絶対的な長さではありません。曲の速さは音符ではなく、言葉で書かれた速度記号、または、一分間に4分音符を何拍うつかという数値(rpm)で表されます。しかし、演奏者の解釈の違いによっても速度はことなります。おおよその目安は以下の通りです。
Largo, Lento, Adagio(ゆっくり)は4分音符=40くらい、Andante, Moderato(ふつう)は4分音符=72くらい、Allegro, Vivace, Presto(はやい)は4分音符=120くらい。ただし、バロック時代のAdagioは4分音符=80くらいで現代よりかなり速いです。いずれにせよ、ヒトの安静時の心拍数(60~80)がほぼAndante, Moderato(ふつう)に当たり、その1/2が(ゆっくり)の下限で、2倍が(はやい)の上限と考えればほぼ間違いありません。

バッロック期やそれ以後のリコーダー曲(器楽曲)では技術の高い演奏者による高速演奏を見ることがよくあります。速い演奏で演奏技術の高さを示してやった感を出したいということかも知れません。しかし高速演奏できなければ楽しめないというわけではありません。また、速いほど良いというわけでもありません。実際には、楽譜中のタンギングの必要な最も短い連続音符(TuKuTuKu)から自分なりの演奏速度の上限を決めて、各自の技術と曲の雰囲気に合わせて速さを調節するとよい。

歌謡曲や民謡などの歌曲をリコーダー演奏するときは原曲がどのような速さで歌われているのかを知ったうえで演奏の速さを決めるのが適切です。原曲のはやさと大きく異なるはやさの演奏は特別の意図がないかぎり原曲のよさをこわしかねません。また、一般に合唱(合奏:アンサンブル)は速く、独唱(独奏:ソロ)は遅く演奏される傾向がみられます。合唱では集団による勢いを表現しようとするのに対し、独唱はゆっくりと味のある演奏をしようというのでしょう。歌をどのように表現するのか自分で考えて演奏速度を決めるのが適切です。

*演奏速度が音楽演奏に影響をもつのは、演奏が音楽(曲)を作り出すだけでなく、演奏姿を見せて聴衆に感動を与えるからでしょう。聴衆を前にした演奏はマーチングバンドやフィギャースケート・体操競技・ブレイクダンス・サーカスなどと同じ「パフォーマンス(ショー)」の側面をもちます。このことはユーチューブで演奏曲をながすとき曲だけでなく同時に演奏姿を見せるとより効果的だいうことにも見て取れます。これを意識して演奏時の体の動きを適切に表現することも効果的かもしれません。

⑥歌うように演奏する

上手に演奏するには歌うように演奏するとよいと言われる。では歌うように演奏するとはなにか。歌を歌うときにわかることだが、楽譜どおりに正確に歌うとそれで曲ができあがるわけではない。そこには演奏者の技術や声質とともに、その曲に対する考え方、思い、表現方法の違いが反映する。たとえばリコーダーでもタンギングが全体的に強い場合(人)と弱い場合、音符ごとに強くしたり弱くしたり変化させながら吹く場合がある。各音符をテヌート気味に長く吹く場合とスタッカート気味に短く吹く場合がある。スラーの音符を最初だけタンギングしてあとはタンギングなしで吹く場合があれば、最初の音符ははっきりしたタンギングだがその後も弱くタンギングを入れる場合もある。強弱の変化が強い場合もあれば弱い場合もある。ビブラートを強くいれる人がいればほとんどいれない人がいる。この違いが悪いかといえば、これでよいのである。演奏にただ一つの正解があるとかんがえるのは間違いである。音楽は自然科学ではない。

そもそも、演奏者が楽譜にもとづき演奏しても作曲家が意図したとおりに曲が表現できるわけではない、あるいは作曲された時代の演奏が再現できるわけでもない。楽譜にはその曲を再現するのに必要な情報が書かれてはいるがそのために必要なすべての情報が書かれているわけではないのである。したがって、同じ楽譜をもちいても、演奏者により(あるいは指揮者により)あるいは用いる楽器の違いにより、演奏場所によりできあがる曲にはちがいが生じる。

では、演奏を規定するものはなにもないかというとそうでもない。歌曲の場合は歌詞があり、その内容が曲の各フレーズの在り方を規定する。各フレーズの演奏はそのフレーズの歌詞の内容と一致することが求められる。歌詞とかけ離れた演奏はその曲を台無しにする。ドラマのバックに流れる曲も、ドラマの各場面に一致した演奏が要求される。風景などの映像のバック曲でも同様である。しかし、純粋な器楽曲の場合は、あるのは曲の表題だけであり、曲の各部分(フレーズ)を規定する外部因子はない。曲は全体として表題に一致しておればよい。あるのは曲内部における各部分の役割・構造(対比や繰り返し)だけであるが、その解釈は楽譜に書かれていること以外は演奏者の自由である。器楽曲は演奏の自由度が高い。

そこで演奏練習とは何か。演奏に唯一の正解がない、自由度が大きいとすると、練習は何をめざして練習するのか。それは、自分の目指す曲が演奏結果としてしあがるために練習するのである。そのためには2つのことが重要である。1つは、やみくもに練習を繰り返すのではなく、自分の演奏を録音してそのどこを修正すれば自分がめざす曲に近づけるのかを自己評価しながら練習するのがよい。自己による振り返りのない練習は単なる訓練になりかねない。

しかし、ここに一つの問題が生じる。自分の目指す曲をしあげて演奏するだけでは独りよがりにならないかという点である。たしかに自分の好みと自分流だけを考えていては独りよがりの演奏となるだろう。自分で楽しむためだけに演奏するのであればそれでよい。しかし他者の前で演奏するとなると事情は違う。聴衆は聴衆で自分の好む曲を聴きそれを評価する。そしてこの聴衆の反応が演奏者につたわり、演奏者は自分が楽しむだけでは済まなくなるのである。こうして聴衆の前で行われる演奏は演奏者と聴衆とのコミュニケーションの結果の演奏となる。特に聴衆のまえで演奏することを前提とする専門家(プロ)の演奏はこうした点を考慮したうえで行われる。

ここで演奏練習のもう一つの方法が明かとなる。自分の手本となる専門家(プロ)の演奏者または演奏例を見つけ出し、それに近づくことをめざして練習することである。リコーダーのための現代曲・歌謡曲集は多く出版されているが、リコーダーの専門家・指導者による演奏は残念ながら少ない。専門家(プロ)・指導者による模範演奏のユーチューブ上での発表を期待する。

3.曲の移調方法

曲の全音程を上下にずらすことを移調といいます。楽曲をリコーダーで演奏するときは、曲の音域をリコーダーの音域に合わせる必要があります。また、シャープやフラットの数が多い曲は数を減らすと演奏が容易です。このような時に移調を行います。
方法は、楽譜を見ながら音程を上下にずらして手書きで五線紙に書き直すのが最もシンプルです。*曲の移調や書き直しには無料楽譜作成ソフトmusescoreを使うことができるそうです。

以下に、フラット(b)またはシャープ(#)のついた曲の音程を上下にずらした時の調(bまたは#の数)を書きました。音程は6音で1オクターブとなり繰り返すので、たとえば2.5音あげるは3.5音下げると同じ、1音あげるは5音下げると同じになります。また、移調を2回繰り返すとより多様な変化が可能です。

b: 2.5音下げるー>なし、1音上げるー>#、2.5音上げるー>bb
bb: 2.5音下げるー>b、1音上げるー>なし
bbb: 1.5音下げるー>なし、1音上げるー>b、2音上げるー>#
bbbb: 1音上げるー>bb、1.5音下げるー>b、2音上げるー>なし
#: 2.5音上げるー>なし、1音下げるー>b
##: 1音下げるー>なし、2.5音上げるー>#
###: 2音下げるー>b、1音下げるー>#、1.5音上げるー>なし
####:1音下げるー>##、1.5音上げるー>#、2音下げるー>なし
なし: 2.5音上げるー>b、2.5音下げるー>#、1音下げるー>bb、1音上げるー>##

4. リコーダー演奏の録音方法

メトロノーム音を聞きながらメトロノームに合わせて演奏します。メトロノーム音を適切な大きさにしてリコーダー演奏中でもはっきり聞こえるようにします。メトロノームが速すぎると演奏が委縮して楽しくありません。自分の演奏に合った適切な速度に変更します。メトロノームが伴奏に感じられるように設定すると楽しく演奏できます。メトロノームを使って練習すると音符や休符のながさを適切に行えるようになります。

メトロノームに合わせて演奏すると別々に録音したものを切り貼りして一つの曲にしたり、異なるパートの演奏を合わせて合奏にしたりできます。

録音は、携帯でイヤホンを用いてwebメトロノームを聞きながらリコーダー演奏して、これを別のボイスレコーダーを用いて録音するとメトロノーム音を入れずに演奏音だけを録音できます。これには、携帯のほかにボイスレコーダーが必要です。webメトロノームとしては オーディオメトロノーム を用います。beatで拍子を設定します。またはで速さ(1分間の拍数)を設定します。▶でスタ-トです。音の強さはoptionのvolumeで設定します。*メトロノームはこの他にグーグル検索でメトロノームと入れるとただちに出ます。

演奏を録音するときの1つの問題が、録音した音声ファイルのファイル形式です。MP3とWAVがよく使われます。WAVの方が音質がよいとされますが、一般のリコーダー演奏の録音だとMP3がファイルサイズが小さく(WAVの約1/4)便利です。CD程度の音質です。他者と音声ファイルをやり取りするときには、ファイル形式の確認が必要です。ファイル形式が合わないときは一般の無料音声編集ソフトでファイル形式変換する必要があります。

演奏録音のもう一つの問題が、ファイルサイズです。録音したファイルを携帯メールで送るときには、ファイルサイズに制限があります。添付可能なファイルサイズは以下の通りです。ドコモメール 2MB、iPhoneメール 2MB、Gmail 25MB、yahooメール25MB、iCloud20MB。したがって、携帯の通常メールからは2MB程度のファイルしか送れません。それ以上の場合は、Gmail、yahooメール、iCloud、あるいは、コンピュータメールを使う必要があります。

長い曲を最初から最後まで間違いなしに演奏することは難しいです。途中で間違っても録音を止めずにそのまま演奏します。録音後、何回か録音したものから音声編集ソフトを用いて部分をつなぎあわせて曲を仕上げます。

音声録音ソフトとしては、無料音声編集ソフトaudacityが使えます。

なお、メトロノーム音ではなく他者の演奏に合わせてリコーダー演奏して2重奏や4重奏を楽しむこともできます。